
初小説『いなくなくならなくならないで』が、第171回芥川賞候補作品に。
今もっとも注目を集める詩人の、「言葉」をめぐるエッセイ集。
【目次】
くちぶえ、ソロで
犬ではないと言われた犬
とありますが、どんなこころですか
矮小な手のひら
しゃべれない
ひとりで学ぶことについて
ほら、フレディ
ドアノブのないドア
ひとの子に
お前とポエムやるの息苦しいよ
微調整、微調整
雲のかよひ路
事象がわたしを
湯船に浸かる
かわいくはないよそもの
後ろ歩き
ミケ
あとがき
【著者略歴】
向坂くじら(さきさか・くじら)
詩人。1994年名古屋生まれ。「国語教室ことぱ舎」(埼玉県桶川市)代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」朗読担当。著書に詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ集『夫婦間における愛の適温』、小説『いなくなくならなくならないで』ほか共著など。慶應義塾大学文学部卒。
《読者からの感想》
●言葉に対して手加減せず、真正面から向かっていく姿に驚いたり納得したり、とても気持ちのよいエッセイでした。
●国語をもっと勉強したい!そんな気持ちにさせられた一冊。
●蜂飼耳、伊藤比呂美など詩人のエッセイが好きだ。言葉に対する向き合い方が独特なので、ハッとすることが多いからだ。「いなくなくならなくならないで」の作者向坂くじらの本書もそう。子供たちに詩を教える「国語教室ことぱ舎」を主宰する彼女。その交流の中で、書くことの意味を問い続ける。これからどんどん面白く深くなるだろう彼女の作品に期待したい。
●濃密でいちいち脳が揺れる文章、しっかり読まないと倒れて負けてしまいそうになる。言葉はこんなに深くなれるものなのか。ああ文章が書きたい、書いて書いてもっと鍛えたい。
●言葉を、詩を大事にするくじらさんのエッセイはとても素敵だ。個人的に突き刺さったのは「事象がわたしを」の章。言葉の限界を知りながら、でも言葉で表現することをやめない姿勢がとても美しく、それでいてかっこいい。
●旅の道中に読み終えました こんな塾、通いたい……! し子供がもしいたら通わせたい……!と思いました そして前作のエッセイでも思ったのだけれどこの話をしている→別の話に飛ぶのだけど最後まで読むとピースがカチッと合わさる感覚があって爽快です。
●向坂さんが国語塾を開くに至ったエピソードがそのまま小説とかドラマになりそうで、向坂さんの想いにグッと来ました。最近読んだエッセイの中で一番感動した良いエッセイでした。
●ことばの選び方、喩えの使い方、文体、語り口、すべてが私には心地よく、読んでいて自分の中に何ともいえぬリズムが生まれてくるのを感じる。ところどころに引かれている詩や短歌などもよい。