

こんな会社ばっかりの世の中なんて終わってる--。
20代で転職6回。「圧倒的成長」をしたくない人のための、ドタバタ明るい転職のすゝめ。
個人誌『おいしいが聞こえる』『踊るように寝て、眠るように食べる』が異例の売れ行きを見せるひらいめぐみ、書き下ろし最新作。
生涯年収やキャリアプランよりも大事にしたいことがある人、転職に悩む人、働き方に悩むすべての人たちに送ります。
【目次】
◎一社目 倉庫、コンビニ
アルバイトはたのしい
倉庫ではたらく
お金がない
時間の換金には限度がある
◎はじめての就職活動
転職エージェントに登録する
初めての面接
「世の中そんなに甘くないんだよ」
再最終面接
◎二社目 営業
入社一か月目
ほほえみ地蔵
社会人練習
踏んだり蹴ったり
血便、ふたたび
◎二社目 はじめての休職
ダチョウか、タカか、ペンギンか
川と裁判傍聴の日々
◎三社目 webマーケティング
おでんを食べながら働く
「圧倒的成長」をしたくない
◎四社目 書店スタッフ
滑り込み転職
手取り十五万円クライシス
レモンの輪切りと人生
「好きなこと」を仕事にする
(二十八歳・書店アルバイト)
転職活動、ふたたび
トイレットペーパーがない
◎五社目 事務局・広報
入社して一か月で辞めたくなる
「給料も払いたくない」
「仕事ができる・できない」は環境の違い
「ひらいさんは文章で成功しない」
なにもない首里城
◎六社目 編集・ライター
職場には川が必要
デスクでごはんを食べること、窓がないオフィスで働くこと
「書く」という仕事
甘いものが食べられない期
偏りをはかる
◎七社目 ライター・作家(フリーランス)←「社」ではないですが……。
倉庫バイト・リバイバル
働き方革命
やってみたいことを、やってみる
転職の数だけ人生の味方が増える
フリーランスの生活と占い
肩書は書かない
いつ、どんな理由で辞めてもいい
夢って、なんだろう
◎あとがき
キャリアが積み上がらなくても、収入が減っても、辞めたくなったら辞める。これが転職においてのわたしの譲れないポイントである。
「面白かった。就職とか会社とかよくわからん、と思ってる人、だいじょうぶ、みんなわかってないから、と教えてくれる本だった。
なんか違う、と感じたら体調を崩してやめてしまう、身体の敏感さがひらいめぐみの才能だと思う。
仕事の内容よりも、仕事場の近くに川があるかどうか、のほうが熱心に語られている。僕も川のそばの倉庫で働いてみたくなった」(pha)
《読者からの感想》
●いろんな道に行ってみながら自分を見付けていくことも、ひとつの生き方なんだな。
●転職を繰り返す著者による振り返りエッセイ。仕事の選び方は人それぞれだけど、「自分がみじめにならないこと、自分自身を極められることを選ぶのが、なにより大切」(p.210)は一つのヒントだなあと思った。つらい話も多いが読むと元気になる本。
●すごい良かった。個人の経験(しんどいものを含めて)を淡々と、だけどポップに文章にする中で、「成長」や「好きを仕事に」への違和感という社会全体の抱える問題に接続されていく構成が面白い。
●友達の打ち明け話に耳を傾けているような時間だった。私も転職ばっかりしてきたので、わかる……と思いながら読んだ。
●ご自身の転職遍歴や人生のあれこれを綴ったエッセイ。意識の低い(褒めてる)転職遍歴が軽妙に語られ、しんみり楽しく読んだ。ずっと今の会社にいる身としては、この著者の行動力が羨ましくもある。
●著者のひらいさんは、20代で転職が6回。職種も業種も雇用形態も、結構バラバラ。だけど思いつきで軽々しく職を変えているわけではなくて、ずっと続けられる仕事をしたい、と思いながらも仕事を変えざるを得ない、という状況に繰り返し追い込まれていくよう。
そういう経験を繰り返すことで、やりがいやお金とは違う、自分だけのオリジナルな仕事の軸、仕事観を見つけていくのが、とてもいいなと思う。そしてそのこだわりポイントが時にとても些細で、他人にとってはわりとどうでも良さそうなことだったりするのも、なんかいい。
文章がチャーミングでとても楽しく読めるのだけど、その背後にある、正社員とパートアルバイトの間に横たわる大きな溝、ハラスメント、長時間労働、貧困、ADHDと仕事、転職業界の闇、メンタルヘルスなどなど、現代的ないろいろな問題についても結構考えさせられる。
ちょうど良い仕事量、ちょうど良いコミットメント、ちょうど良い給料の仕事って、いったいどこにあるんだろう?と思ってしまいました。