「自分の姿を知られるのは恥ずかしいと思った。それでも私は書くことに決めた。」
突然、恋人が脳梗塞で倒れて何が何だかさっぱりわからなくなってしまってからの日々を、一般女性が写真と文章で淡々と綴った記録。
【絶賛コメント続々到着!!】
読み始めは、女の子の心を覗き見するようなやましい気持ちで読んでいたけど、読み終わると優しい気持ちになっていました。本当の自分をここまでさらけ出されると、優しくなるしかないでしょう。
末井昭(エッセイスト)
ある日とつぜん脳梗塞になった恋人とどう向き合うか。寄り添い生きる選択が「強さ」なら、自分だけ人生を楽しんでいいのだろうかと罪悪感を抱きながら別の道を行くのもまた「強さ」ではないか 。
自分の弱さやズルさを隠さずに書ける人を私は尊敬する。名前も顔も一糸纏わぬ姿さえも隠さない星野さんを尊敬する。
こだま(『夫のちんぽが入らない』著者)
星野さんに起こったことは誰もが経験するようなことではないから、そのあらすじがまず興味をひくかもしれない。けれど、読みながらひしひしと伝わってきたのは、「自分が生きている世界に取り残されないように、必死に記録をしている」切実さのほうだった。自分のことを自分のために記録することは、なんとかけがえなく、取り返しのつかないことだろうか。
内沼晋太郎(ブック・コーディネーター/日記屋 月日)
他人の人生から唐突に抜き出されたある時期の日常を盗み、窃視する背徳に心がチリチリする。
中毒性のある快楽。
時間を忘れ貪り読み、圧倒的に他人事として追体験した。
そのはずなのに、彼女が必死で生きた日々が自分の体内で重みを増す予感がして、恐怖する。 どうにもならないことをどうにかしようとするがどうにもならない。そういうリアリティが消化不良となっているようだ。
迂闊に他人の証明を丸呑みする罰か。
花本武(ブックスルーエ)
脳梗塞で倒れた恋人。
その後の日々の想いを、忘れてしまわないようにと綴られた切実な言葉たち。
多くの人にとって、辛い出来事は、いつか忘れてしまいたいことなのに、彼女は丹念に書き続けた。生きることを諦めたくないかのように。
読み進めることは常に痛みを伴うが、ページをめくる手が止まらなかった。止めてはいけない気がした。私はある作品を読んだだけでなく、星野文月を生きてしまった。今はまだ、ユウキさんの「は?」の残響に包まれて途方に暮れているけれど、以前より優しくなれる気がしている。
藤代冥砂(写真家)
言葉にならなかった感情は目に見えない形で漂い、誰にも知られず忘れてしまえば無かったことと同じだ。
この本は私にとって、当時の文月ちゃんを内側から答え合わせするような一冊だった。本来なら知らないまま消えてしまうはずの微かな心の動きを彼女の言葉が証明している。
同時に、無かったことにされた記憶の多さと、その行き場を想わずにはいられなかった。恐らくこの世では数えきれないほどの出来事が残る術を持たないまま透明になる。
水元さきの(イラストレーター)